パーキンソン病の起居動作の評価法

評価

臨床上重要なテーマであるにもかかわらず、パーキンソン病の起居動作をどう評価すべきか、そのコンセンサスは得られていな。そこで我々は、既存の文献を網羅的にレビューし、どのような客観的評価法が存在し、どれが臨床に適しているのかを検証した。その成果をPhysiotherapy誌に発表した。以下に解説する。

3つの主要な評価方法

レビューの結果、23の研究が抽出され、評価法は大きく以下の3つに分類された 。

  1. 評価尺度(Rating Scales):全体の39%
  2. センサーベース評価(Sensor-based assessments):全体の48%
  3. 時間計測(Timed-tests):全体の13%

それぞれの特徴と臨床的有用性についての結論は以下の通りである。

1. 評価尺度(Rating Scales)

【結論:現時点での臨床推奨 No.1】 Modified Parkinson Activity Scale (M-PAS) や Lindop Parkinson’s Disease Mobility Assessment (LPA) がこれに該当する 。

  • メリット:理学療法による介入効果を検出できるように設計されており、信頼性と妥当性が十分に示されている 。特にM-PASは天井効果がなく、より詳細な評価が可能である 。
  • デメリット:評価に時間や道具(掛け布団など)が必要な場合がある 。

2. センサーベース評価(Sensor-based assessments)

【結論:自宅での長期モニタリングに期待】 加速度計やジャイロスコープを体幹や手足に装着し、寝返りの回数や速度、角度などを計測する方法である

  • メリット:病院での「その場限りの評価」ではなく、自宅環境での夜間の動きを長時間モニタリングできるため、実際の生活状況(Ecological validity)を把握するのに優れている 。
  • デメリット:機器のコストやデータ解析の専門知識が必要であり、臨床現場ですぐに導入するにはハードルが高い 。また、評価尺度との関連性がまだ明確ではない 。

3. 時間計測(Timed-tests)

【結論:簡便だが、単体では不十分】 起き上がりにかかる時間をストップウォッチ等で計測する方法である

  • メリット:非常に簡便で実施しやすい 。
  • デメリット:動作の「質」(どのような代償動作を使っているか等)までは分からず、治療効果の判定には限界がある 。

結論

本レビューの結果、現時点の臨床現場において最も推奨されるのは「評価尺度(Rating Scales)」である 。信頼性と妥当性が確立されており、治療効果の判定に適しているからだ。

引用論文 Seira Taniguchi, Ariko Yamamoto, Nicholas D’cruz,
Assessing impaired bed mobility in patients with Parkinson’s disease: a scoping review. Physiotherapy, Vol. 124, 2024. https://doi.org/10.1016/j.physio.2023.10.005