すくみ足の新しい定義と分類~2026年国際コンセンサス~

評価

2026年にInternational Consortium for Freezing of Gait(ICFOG)より、新しいすくみ足の定義と分類が発表されました 。ここでは、Gilatらの報告(Nat Rev Neurol. 2026)に基づき、すくみ足のサブタイプ分類についてご紹介します。

1. 新しい概念:コア(Core)について

今回、すくみ足の分類をより正確にするため、コアという概念が導入されました 。

  • コアとは: すくみ足のエピソードの中で、足の進行が完全に止まった(全く進まなくなった)区間のことです 。
  • なぜ「コア」を設けるのか? すくみ足には、完全に止まる瞬間があるタイプと、足踏みやすり足だけで終わる完全には止まらないタイプがあるからです 。
    • コアがないすくみ足: その場で足踏みをしたり、小刻みに震えるだけで、完全停止はしないまま再び歩き出せるケース(コアなし) 。
    • コアがあるすくみ足: 小刻みな足踏みから始まり、途中で完全に足が床に張り付いたようになり前進しない(=コア)、その後また歩き出すケース 。

これまでは、下腿の動きだけでサブタイプ分類していましたが、新しい定義では、すくみ足という長い発作の中に(下図のFreezing episode duration)、完全に停止する(Core=下図の赤色)が含まれることを想定しています 。

Gilatらの報告(Nat Rev Neurol. 2026)の図1より

2. 3つのサブタイプ分類

コアの概念を踏まえると、3つの分類はより理解しやすくなります。

  1. 無動型(Akinetic FOG)
    • 目に見える動きが全くない状態です。定義上、このタイプは常にコアの状態と重なります 。
  2. 運動・振戦型(Kinetic-Trembling FOG)
    • 下腿が小刻みに素早く震えている(Trembling)状態です 。この震えの最中に足が前に進んでいなければ、それはコアの一部とみなされることもありますし、わずかに動いていればコアではありません。
  3. 運動・非振戦型(Kinetic-No-Trembling FOG)
    • すり足や突進歩行が含まれます
    • ここがポイント: このタイプでは、わずかに前進していたり、足踏みをしていたりすることが多くあります。完全に進行が止まっていない限り、それはコアではなく、すくみ足の発生の一部として扱われます。

3. 突進現象はすくみ足にカテゴリー分けするのか?

これまで見解が分かれていましたが、この新定義では、突進歩行の一部もすくみ足に含みます。すくみ足のエピソード全体を発作的に有効なステップが踏めなくなる状態と広く定義したためです 。

  • すり足(Paroxysmal shuffling): 足が上がらず、地面を擦るように小さく動いている状態 。
  • 突進現象(Festinating-freezing): バランスを崩し、前のめりになって小刻みに加速してしまう状態。単なるバランス崩れ(重心移動)による突進ではなく、歩幅が短くなり小刻みになるタイプ(Type I)がすくみ足に含まれます 。

4. すくみ足の判定レベル

すくみ足は発作的に起こり、自宅で起きても病院内では起こらない、日差など変動が大きいことから、1人の患者さんがすくみ足あり/なしなのかをはっきりと区別することは難しいとされています 。これを踏まえ、すくみ足あり/なしを判断する確実性についても、レベル分けが提唱されました 。

  • レベル1 可能性あり(Possible): 患者さん自身の報告のみに基づき、診察室では症状が見られない場合 。
  • レベル2 ほぼ確実(Probable/Possible): ON、OFFのどちらか一方で、医師がすくみ足を観察できた場合 。なお、OFF状態での観察(レベル2B)の方が、ON状態での観察(レベル2A)よりも分類の確実性が高いと定義されています。
  • レベル3 確実(Definite): ONと切OFFの両方の状態で評価を行い、少なくとも一方で症状が確認された場合(最も確実性が高い)。

※患者の自己申告(すくみ足あり/なし)に関わらず、検査者が一度でもすくみ足を直接確認した場合、その患者は「確定(Definite FOG)」に分類されます。


ICFOG_definition_2026

引用文献

Gilat M, et al.; International Consortium for Freezing of Gait. An updated definition of freezing of gait. Nature Reviews Neurology. 2026 Jan 9. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41513745/.